人気ブログランキング | 話題のタグを見る

巨大遺跡    

今度のアメリカの自動車ビッグスリーと米国会の支援交渉はスタートからお笑いぐさだった。借金を申し込むのに、すぐ近所のデトロイトから各々が自家用ジェットで首都ワシントンD.C.の乗り付けたら自家用ジェットなんか持っていない貸し手の国民、その代理人の国会議員はどう思うか、あのお偉方たちは考えなかったように見える。本人が思い及ばなかったうえ、側近も気がつきながら意見具申しかったように見える。

小さい頃、「払いを待って貰ったり借金したりするときはツギの当たった着物で頼みに行かなければならぬ」と何かの本で読んだ記憶がある。

しかし大学生になって父から教わったのは逆だった。「貧乏くさいと支払能力を疑われるから、仕入先や銀行に会うときはパリッとしてなあかん」

ビッグスリーの自家用ジェット利用は「パリッとしてなあかん」という思想に基づく行動だったのだろうか。そうだとすると、ほんの数ヶ月前に破綻金融機関の経営者報酬が国会やメディアで糾弾されたのを知らなかったのだろうか。しかも自動車産業は、従業員も高収入を得ている一匹狼たちで構成される金融業界と異なり、従業員たちは巨大なUAW(United Auto Workers:全米自動車労働組合)に所属している。国会議員たちもUAWには神経を使う。

高度成長を遂げる前の日本産業界なら別な星の出来事として一顧だにしなかっただろうが、CEOの類の子供じみた称号、ストックオプションのような怪しげな報酬制度がアメリカから入っている今日では、日本のお偉方も威張り散らしながら「首切り競争」を繰り広げている。

何でもアメリカと同じ。
しかし、ブッシュは何もかもオバマに押しつけてバイバイできるが、自民公明政府は簡単には逃げられない。

20世紀に世界を席巻した日米の自動車産業は「ルート66」のような偉大な遺跡となるだけか。それも良かろう。



ナット・キング・コールはピアノの鬼才として登場したが、余技だった歌が売れて大人気歌手になったのだ、と話しても信じて貰えなくなってきたので証拠を提出した。

しかし、この歌はいろいろな演奏が楽しめる傑作ではある。


by convenientF | 2008-12-14 15:30